別れる前にしておきたいこと ー Time limited love ー
23時近くなってスマホが鳴った。

寝転がっていたソファからテーブルに手を伸ばし、スマホを手に取る。

着信は秋からだ。晴くん、大当たりだな。

「もしもし」

『もしもし。大丈夫か?』

電話越しでもわかる心配そうな声。

「うん、もう平気だよ」

『もう寝てた?』

「ううん。ゴロゴロしてた」

『今から行っていい?10分くらいで着くから』

10分…っていうことは、もう秋はこっちに向かっていたということだろう。

私がもう眠っていたら、電話にも出なかったかもしれないのに。

「うん」

秋のこういう気遣いが、今の私にはつらい。

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