別れる前にしておきたいこと ー Time limited love ー
秋も花火に火をつけ、隣同士でしゃがんで静かにオレンジの粒を見つめた。

周りが雷みたいに光り出し、火花が粒の周りでたくさん咲いては消える。

光と共に聞こえる小さな音に耳をすませ、会話もなくただ光の行方を見守った。

音が途切れたと思ったら、雨のように小さな光がいくつか落ちて、オレンジの粒はぽとりと落ちて手元が暗くなった。

「…あ、終わった」

「俺も。ほぼ同時だったな」

「線香花火ってこんなにすぐ終わっちゃうものだっけ」

「あんまり長く続くイメージはないな」

袋の中の線香花火はまだまだ残っている。

こんなにたくさん必要なかったのだけど。

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