別れる前にしておきたいこと ー Time limited love ー
ここ数日、また秋は忙しそうにしている。
出張という名目で、執行役員の会議に出席しているはずだ。
いつやってくるかわからない忙しさの波。
私にはその理由がわからない。
時間はどんどん過ぎていき、焦りばかりが募るけど、秋の前ではポーカーフェイスでいなきゃいけない。
落ち込んでいる時間すらもうもったいないのだ。
デートができなくても、同じ部署にいて毎日顔を合わせられるだけでもまだありがたいことなのだろう。
「お疲れさま」
仕事が終わり、エレベーターホールを出て社員通用口へ向かうとき、ポンっと肩を叩いて声をかけてきたのは友香だ。
「ああ、お疲れさま。
帰り一緒になるの久しぶりだね」
「ねー、人数多いからね」
真衣もそうだけど、友香とも、社食で待ち合わせでもしない限りなかなか会う機会がない。
「そういえば、のんちゃん離婚するんだって!高橋くんと」
「うそっ!ハタチくらいで結婚したんじゃなかったっけ」
のんちゃんたちは中学の同級生だ。
「中学から付き合ってて他の恋愛を知らないまま結婚ってのは、あとで反動がくるのかもねえ」
友香とは仕事だけじゃなく、こんな話ができるから楽しい。
離婚話を楽しいというのはとてもひどい話ではあるけど、幼なじみが同じ会社にいるというのはなんだかホッとする。
素の自分でいられる時間が作れる気がするのだ。
一緒に駅へ向かおうと社員通用口を抜け、会社の正面玄関の前を通ろうとしたら、キョロキョロと見回している男の人と目が合った。
出張という名目で、執行役員の会議に出席しているはずだ。
いつやってくるかわからない忙しさの波。
私にはその理由がわからない。
時間はどんどん過ぎていき、焦りばかりが募るけど、秋の前ではポーカーフェイスでいなきゃいけない。
落ち込んでいる時間すらもうもったいないのだ。
デートができなくても、同じ部署にいて毎日顔を合わせられるだけでもまだありがたいことなのだろう。
「お疲れさま」
仕事が終わり、エレベーターホールを出て社員通用口へ向かうとき、ポンっと肩を叩いて声をかけてきたのは友香だ。
「ああ、お疲れさま。
帰り一緒になるの久しぶりだね」
「ねー、人数多いからね」
真衣もそうだけど、友香とも、社食で待ち合わせでもしない限りなかなか会う機会がない。
「そういえば、のんちゃん離婚するんだって!高橋くんと」
「うそっ!ハタチくらいで結婚したんじゃなかったっけ」
のんちゃんたちは中学の同級生だ。
「中学から付き合ってて他の恋愛を知らないまま結婚ってのは、あとで反動がくるのかもねえ」
友香とは仕事だけじゃなく、こんな話ができるから楽しい。
離婚話を楽しいというのはとてもひどい話ではあるけど、幼なじみが同じ会社にいるというのはなんだかホッとする。
素の自分でいられる時間が作れる気がするのだ。
一緒に駅へ向かおうと社員通用口を抜け、会社の正面玄関の前を通ろうとしたら、キョロキョロと見回している男の人と目が合った。