《クールな彼は欲しがり屋》
本日は冷え込みが厳しそうです。
頭が混乱してきた。

いくら、世の中に草食系男子が増えているとはいえ、本当に目の前にこんな大物の草食系が現れるとは思わなかった。

こうしている間にもごちゃごちゃした頭の中に沢山の疑問が浮かんできてしまう。

まず、最初の疑問をぶつけてみることにした。

「初めての女ってことは、文字通りに受けとめて良いところでしょうか?」

グラスビールが目の前に置かれると、沢田課長は私の両手から、さっさと手を離してグラスに手を伸ばした。

「さ、乾杯だ」

「あの、質問の答えは?」

「まず、乾杯が先。グラスを持てよ」

グラスを持ち上げると
「まさかの再会に乾杯」と言って沢田課長は私のグラスにグラスを軽く当ててきた。

まさかのって。
そりゃあ、まさかだけども。

喉仏を上下させる沢田課長をじっくり見つめていた。
あの夜と同じ喉仏だ。

ある意味セクシーにも見える喉仏の膨らみ。どうやら、私は喉仏フェチのようだ。今さら気がついた。


沢田課長の喉仏に触れたくなる衝動を抑え、また尋ねた。

「本当に私は初めての女ですか?」

「ああ」

本当らしかった。
ついでにもうひとつ確認しておきたい。

「あの、それは素人が初めてって意味ですか?」
沢田課長は、ぎょっとしたように私をみた。
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