《クールな彼は欲しがり屋》

その後は、和泉さんと営業先に周った。

そのまま直帰していいことになっていた為、和泉さんと駅で別れたあと、家に帰る前に、いつものようにコンビニに寄った。

お弁当のコーナーにいたらコートのポケットに入れていたスマホが振動し始めた。

画面をみると、沢田課長からラインがきていた。

『飯まだなら、一緒にどうだ?』
という簡単な文章が表示されていた。

ご飯に誘われているのは確かだ。

まだ、夕食は食べていないが、果たしてどう返事をしようか。

両手でスマホを握りしめ、完全に固まっていた。

返事を返すに返せない。
言葉が全然思い浮かばない。

ご飯はまだだけど、沢田課長と一緒にというのは、私にしたらかなりハードルが高い。

イケメン上司と二人きりで夜ご飯。

私の心配は、そのあとだ。

じゃあ、お疲れ様と素直に解散出来るのだろうか。

とかく、付き合った経験のない女は、深く考え無駄に怯えがちだ。

私が怯えてるうちに、しびれを切らした短気な沢田課長から電話が来てしまった。
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