《クールな彼は欲しがり屋》
健太郎とおしゃれなイタリアンレストランでクリスマスディナーを楽しみ、これまた健太郎御用達の落ち着いた雰囲気の良いbarでカクテルなんかを飲んだ。
夢みたいな夜。
健太郎の為に選んだプレゼントのネクタイ。
渡すと健太郎は、とても喜んでくれた。
一年前のあの夜と同じ人が隣にいるのに、今日は大違いだ。初めから楽しくて嬉しくて幸せな気分でいられた。
でも、素敵なお店も素敵なお酒も選んだのは、全て健太郎だ。
黄金色したスパークリングな飲み物のグラスに上る小さな泡。
その泡を見つめていたら、ため息がでた。
カウンターの席に並んで座った健太郎と私。
「もっとつまみ頼もうか?」
そつなく気が利いて、失敗なんかしでかさない健太郎。
私は首を横に激しくふった。
「このあとの予定、聞いていい?」
Barに流れていたジャズの音楽。
前に向いていた健太郎が驚いたように私を見た。
「聞いちゃまずかった?」
どうせ、そつなくこなせる健太郎ならば、イブの予定も決めてあるはず。
素敵なイブを過ごすために。
「いや....ホテル予約してる」
肩をびくつかせていた。
わかっていた。今日は、リベンジの日だって。
一応、今日のために新しい下着を身につけてきた。
でも、私はまだ何もしてない。
「嫌か?」
優しく聞いてくる健太郎。
私に気をつかっている感じが丸出し。
そんなに気を使わなくていいのに。イブだからって頑張らなくてもい。私が未経験だからって、そこまで優しくしなくてもいい。