イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「ただいまー」
拓海に送ってもらい家に帰ると、ぱたぱたと階段を下りてくる足音。
「今日も拓海くんに送ってもらったの? 私も拓海くんに会いたかったなぁ。家にあがってもらえばいいのに……」
今日もよくしゃべる里奈が、玄関で靴を脱ぐ私を見て足を止めた。
「お姉ちゃん、なにその恰好。なにかあったの?」
あきらかにメンズサイズのTシャツとパーカーを着た私に、眉をひそめてそう聞いてくる。
「いや! これは、服を汚しちゃったから着替えを借りただけで……」
目ざとい里奈に、内心冷や汗をかきながら平静を装った。
とりあえず自分の部屋に逃げ込もう。
ごまかしながら階段をのぼると、そのあとを里奈がついてくる。
「それだけ? シャワーも浴びたでしょ。シャンプーの匂いがちがう」
警察犬のような鋭さに、顔がひきつる。
妹の洞察力が怖い。