イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 


「ただいまー」

拓海に送ってもらい家に帰ると、ぱたぱたと階段を下りてくる足音。

「今日も拓海くんに送ってもらったの? 私も拓海くんに会いたかったなぁ。家にあがってもらえばいいのに……」

今日もよくしゃべる里奈が、玄関で靴を脱ぐ私を見て足を止めた。

「お姉ちゃん、なにその恰好。なにかあったの?」

あきらかにメンズサイズのTシャツとパーカーを着た私に、眉をひそめてそう聞いてくる。

「いや! これは、服を汚しちゃったから着替えを借りただけで……」

目ざとい里奈に、内心冷や汗をかきながら平静を装った。

とりあえず自分の部屋に逃げ込もう。
ごまかしながら階段をのぼると、そのあとを里奈がついてくる。

「それだけ? シャワーも浴びたでしょ。シャンプーの匂いがちがう」

警察犬のような鋭さに、顔がひきつる。
妹の洞察力が怖い。



 
< 101 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop