イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「私なんかがこんな可愛い下着をして、笑われませんかね……?」
動揺しながら店員さんに聞くと、「笑われるわけないじゃないですか!」と逆に驚かれてしまった。
「なんで佳奈ちゃんは、そんなにおしゃれすることに抵抗があるの?」
試着室のドアの向こうで不思議そうな声を出すスミレさんに、うつむきながら口を開く。
「……修学旅行の時って、みんなちょっと背伸びして可愛いパジャマや下着を用意したりするじゃないですか」
「あー、わかる。パステルカラーのルームウエア買ったりしたよね」
スミレさんの相槌を聞きながら、いやな思い出がよみがえる。
鏡の中の自分から目をそらすように、視線を落としたままで話を続けた。
「中学の修学旅行の時、母が気を利かせてすごく可愛い下着を用意してくれたんです。ヒラヒラのフリルやレースがついたピンク色の下着。それをしまっていたポーチをホテルの中で落としてしまって……」
「なんかその展開、嫌な予感しかしないわ」
私の話の途中でスミレさんが声を低くする。
心底いやそうな口調に、「ご想像通りです」と私はうなずいた。