イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 

「え、ちょっと里奈、どうして?」
「だってお姉ちゃんばっかり拓海くんの家に遊びに行くのずるいじゃん。お母さんに部屋の住所を聞いて私も来ちゃった」

そう言って小首をかしげるマイペースな里奈は、ローテーブルに紙袋の中身を並べだす。

「拓海くんのために、張り切って作ったんだよ。鶏肉のローストに、アボカドとエビのサラダ。カニクリームコロッケと、それからオリーブとトマトのマリネ」

説明しながら里奈がふた付きの容器を開くたびに、色鮮やかな料理がテーブルを埋めていく。

どれもすごくおいしそうだけど……。
私は戸惑いながらちらりと里奈の表情をうかがう。

「すごいな」

その様子を見下ろしていた拓海が、ぽつりと言った。

「えへへ。ありがとう」

照れくさそうに肩をすくめて笑う里奈。
そのやりとりに、胸のあたりがもやもやしてしまう。


 
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