イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 

「とりあえず、着替えてくるわ」

帰ってきてスーツ姿のままだった拓海がリビングから出ていくのを見送ってから、私は里奈に向き直った。

「里奈、これあんたが作ったんじゃないよね?」

ローストされた鶏肉にはこんがり美味しそうな焦げ目がつき、コロッケには立派なカニの爪がついてる。
どうみても里奈の手作りじゃなく、プロの料理だ。

「あ、ばれちゃった?」

私の言葉に里奈は悪びれる様子もなく舌をだして笑う。
その表情にカチンときた。

「ばれちゃった? じゃないよ。なに考えてるの、嘘をついて拓海をだますなんて」
「嘘ついちゃだめなの?」
「だめに決まってるじゃない」

私が強い口調で言うと、里奈の表情がかわった。
それまでのにこにこした笑顔ではなく、さめた視線をこちらに向ける。

「そうやって私ばっかり責めるけどさ、嘘をついてるのはお姉ちゃんもだよね?」


 
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