イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「そうなんです。昔から美少女だってみんなに言われるくらいかわいくて……」
「いや、反対なのは外見じゃなく、中身の話だよ。外見は佳奈ちゃんだって可愛いだろ」
平然とそう言った川口さんに顔をしかめる。
川口さんは動物とかゆるキャラ的な意味で『可愛い』と言っているんだろうから褒められてる気がしない。
「お気遣いありがとうございます」
「あ、思い切り聞き流したな」
私の必要以上に丁寧な受け答えに、川口さんが面白がるように肩を揺らす。
「で、妹にバッサリ切り捨てられて、佳奈ちゃんはショックを受けたのね」
親身になって話を聞いてくれていたスミレさんにそう問われ、私は少し考えてからかぶりを振った。
「ショックというか、里奈の言葉で自分の諦めの悪さを思い知って、臆病で卑怯な自分に嫌気がさしたんです」
諦めたなんて口だけで、拓海と一緒にいられることを本当は喜んでた。
彼女がいるってわかってるのに、家に行けるのが嬉しかった。
……里奈の言う通り、私は卑怯だ。