イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 
「な、なんか、恥ずかしいから、話して……」

この衣擦れの音とお互いの呼吸音しか聞こえない状態が、落ち着かなくて仕方ない。

「話してって、なにを?」
「なんでもいいから……っ」

なにか話しをして気を紛らわしていないと、情けなく甘ったるい声が次から次と口から洩れてしまいそうだ。

「じゃあ、佳奈はいつから俺のことを好きだった?」

そう問われ、呼吸を乱しながら口を開く。

「中学の、修学旅行の時、かな」
「あぁ、あの時か」
「怒ってくれて、すごく嬉しかった。……ありがと」

改めてお礼を言うと、拓海は「うん」と柔らかくうなずいた。

「拓海は……?」
「俺?」

今度は私が聞くと、拓海は私の体に手を這わせながら考えるように首をかしげる。

「いつからだったかな」
「忘れてるなんて、ひど……っ」

批難しようとした言葉は、拓海の意地悪な手の動きで甘えた嬌声変わってしまう。


 
< 183 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop