イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 
「眼鏡がないから、周りがよく見えなくてなんだか不安」
「眼鏡? そっか、昨日はコンタクトだったんだよな」

私の言葉に、拓海が顔を上げて部屋の中を見回した。

昨夜は半分惚けながら、拓海に言われてつけていた使い捨てのコンタクトを外して寝たのは覚えているけど、眼鏡をどこに置いたのか覚えていない。

「眼鏡はバッグの中か?」

拓海が体を起こしながら私にたずねる。

「ええと……」

昨日はコンタクト屋さんに行って診察してもらって……。
そのとき外した眼鏡はどうしたんだっけ。

曖昧な記憶をたどっていると、リビングの方から聞きなれた短い電子音が聞こえてきた。

「あ、私のスマホ」
「持ってきてやるよ」

私のつぶやきを聞いた拓海がそう言って立ち上がる。
すぐに私のバッグを持って戻ってきた拓海に「ありがとう」とお礼をいいながらスマホを取り出すと、スミレさんからメッセージが来ていた。


 
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