イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「だから……」
襲い来る羞恥に言葉をにごし視線を泳がせると、せっかちな拓海が眉根を寄せる。
「はっきり言えよ。追い出すぞ」
追い出すぞってひどい。相変わらず容赦ない拓海に、私は覚悟を決めて息をのむ。
「だから、私を抱いてください……!」
その瞬間、部屋がシンと静まり返った。
壁に掛けられた時計の秒針が、カチカチと時を刻む音だけがむなしく響く。
とても顔を上げられなくて、床に正座した自分の膝を見下ろしぎゅっと手を握りしめていると、ようやく拓海が言葉を発した。
「……はぁ? 抱いてくれって、お前俺のことが好きなのか?」
その言葉に、ぶわっと顔が熱くなる。
慌てて顔を上げ、必死に首を振った。
「ち、違う! 好きじゃない! 拓海のことなんて、好きじゃないしっ!!」
やばいやばいやばい。
私が拓海のことを好きだなんて思われたら、厄介なことになってしまう。
ここは絶対に違うと否定しなければ!
私の必死の思いが通じたのが、拓海は大きなため息をついた。