イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「じゃあ、好きでもない男に抱いてくれって言ってるのか?」
そう問われ神妙な表情でうなずいた私を、冷たい声で「お前、バカだろ」と罵る拓海。
……バカって、ひどい。
私は真剣に悩んで、勇気をふりしぼってここに来たのに。
顔をあげて目の前の男を睨むと、彼はうんざりした表情で着ていたスーツのボタンを片手で外した。
脱いだ上着をソファの背もたれに置く。そして、フローリングの上で正座する私のことを見ながら、ひとり掛けのソファに腰をおろした。
長い足を組み、ソファのひじ掛けに頬杖をついたその姿は、くやしいけどかっこいい。
少し長めの前髪を自然にサイドに流した髪型に、少し冷たそうにも見える整った顔。
どこか飄々とした、クールな雰囲気を纏うイイ男だ。
その姿にぼんやりと見惚れていると、「で?」と首を傾げられた。
「え?」
ぱちぱちと瞬きをして聞き返す。
「……だから。突然ひとの部屋に突撃してきて、ガキの頃から知ってる幼馴染にいきなり抱いてくれなんてバカなことを言うからには、なんか理由があるんだろ?」
その言葉に、私はぶんぶんと首を縦に振りうなずいた。