イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「じゃあ酔っぱらいの戯言だと思っていいから、考えてよ」
「なにをですか?」
「告白して振られるのと、抱いてって頼んで断られるの」
その究極の二択、まだ続いていたんですか。私は困惑しながら眼鏡のフレームを押し上げる。
「どっちも無理です」
「じゃあ想像して」
「想像だけですよ」
スミレさんの指示通り、頭の中でシミュレーションしてみる。
『中学の頃からずっと好きでした』と告白したら、処女はめんどうだなんて言う拓海は百パーセント引くはずだ。
私みたいな眼鏡の地味女に十年以上片思いをされていたなんて知ったら、気持ち悪がられるかもしれない。
そして、幼馴染の上に、今は同じ会社の同僚でもある拓海に嫌悪感を抱かれ避けられることになる。
そう想像するだけで気まずくて吐きそうになる。
……うん、無理。絶対告白なんかできない。