イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
私が頭を抱えてうなっていると、目の前に温かいココアが入ったマグカップがこつりと置かれた。
視線を上げると、スミレさんがテーブルを挟んだ向かいの椅子に腰かけるところだった。
「ありがとうございます……」
私がお礼を言うと、にっこりと笑う。
拓海の部屋に突撃した翌日、私は先輩のスミレさんの家にいた。
昨日の出来事がとてもひとりでは消化しきれなくて、誰かに話さずにはいられなかったのだ。
「まさか、本当に佳奈ちゃんが初恋の相手に抱いてくださいってお願いするとは思わなかったわ」
私の話を聞いたスミレさんが、ココアをすすりながらそう言う。
「しかも、枕で相手を殴り倒して逃げ出してくるなんて……」
語尾が途切れ、カップを持つ手が震え出す。
スミレさんの様子がなんだかおかしいなと眉をひそめると、必死に笑いをこらえているようだった。