イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
眼鏡が吹き飛びそうな勢いで首を左右に振り続けると、川口さんが表情を緩めて吹き出した。
「そんなに振ったら、そのまま首とれるぞ」
くすくす笑いながら、川口さんがこちらに腕を伸ばす。
大きな手に頭を押さえられ、ようやく首が止まった。
頭をふりすぎたせいで髪はぼさぼさで眼鏡もずりおちてる。
そんな情けない状態で川口さんを見上げると、ぷぷっとまた吹き出された。
「なんか、スミレが佳奈ちゃんを可愛がる気持ちがわかるわ」
そう言って、私の頭を押さえていた手でぽんぽんと撫でられた。
「でしょ? 思わず応援してあげたくなるでしょ?」
テーブルにつっぷしていたスミレさんが顔を上げて胸を張る。
「でも、相手が窪田か……。顔がいい上に話し上手だし、仕事もできるから、あいつモテるんだよなぁ」
苦い表情で言った川口さんに、私はがっくりと肩を落とした。
川口さんも同じ会社の営業部だから、当然拓海のことを知ってる。