イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「へぇ、窪田くんってイケメンなだけじゃなくて、仕事もできるの?」
首をかしげたスミレさんに、川口さんはうなずく。
「この前も窪田のいるチームが、通販サイトに営業かけて大規模なフェアを展開して社内で表彰されてたの知らない?」
「あぁ、あれ窪田くんだったんだ」
「リーダーは違うけど、実質窪田がメインで動いてた」
スミレさんは知らなかったようだけど、私はもちろん知っている。
社内報に載った拓海の写真に、女子社員たちがよろこんでいたことも。
広報に押しかけて拓海の写真をくださいと、お願いする新入社員がいたという噂だ。
アイドルかよ。
と拓海の人気を苦々しい気持ちで眺めていたっけ。
「でも同じ営業なんだから、信彦は窪田くんの先輩なんでしょ? うまく取り持ってあげなよ」
「同じって言っても、俺は営業統括で窪田はメディア営業だから直属の後輩ってわけでもないし」
「なにそれ。頼りないなぁ」
言い争いに発展しそうなふたりに、慌てて口をはさむ。