イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 


「拓海くん。うちは家族みたいなもんなんだから、気兼ねせずいつでも遊びにきていいからね!」

息を巻いて言う母に、拓海は「ありがとうございます」とはにかみながら笑う。

「拓海くんは、おうちでお料理作ってくれるような彼女いないの?」

里奈が小首をかしげ、上目遣いで拓海に問いかける。

里奈、残念だけど拓海にはちゃんと彼女がいるからね。
そうやってかわいい顔をして狙っても無駄だよ。

心の中でそう思っていると、拓海はにこりと笑って首をかしげた。

「いないよ」
「いないの!?」

拓海の言葉に前のめりで反応してしまった。

「佳奈。なに大きい声だしてんの」

呆れる母に突っ込まれ、「なんでもない」と慌てて平静を装う。

なんで拓海はそんな嘘をつくんだ。
昨日ははっきりと本命がいるって言ってたのに。
もしかして、なかなか会えない遠距離恋愛とかなのかな。
それならなかなか家に遊びになんてこれないだろうし……。


 
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