イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
そんなことを考えていると、拓海は頬杖をついてこちらを見ていた。
視線が合うと意味深に笑う。
「誰か、俺の家に料理を作りに来てくれたらうれしいんだけどなぁ」
流し目でにっこりと微笑みかけられ、私はきょとんと目を瞬かせる。
「じゃあ、佳奈が料理を作りに行ってあげればいいじゃない」
私たちの様子を見ていた母が、名案をひらめいたとばかりに声を張り上げた。
「はぁ!?」
なんで私が……!?
とんでもない提案に目をむく。
「あんたは家じゃちっとも家事をしないんだから。拓海くんに作ってあげれば料理の練習にもなるし、いい機会じゃない」
「いやいやいやいや」
そんなのやだ。
絶対やだ。
拓海の部屋で料理を作ってあげるなんて本気でいやだ。
私はもう不毛な片想いに区切りをつけ、前を向いて歩き出そうと決めたんだから。
せっかく気持ちに整理をつけたのに、わざわざ拓海にかかわりたくないし、失恋の傷口を自分で広げたくない。