イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「……嫌いな料理、ですか?」
「わざとおいしくない嫌いな料理を作れば、窪田くんもうんざりして、もう料理を作りに来なくていいって言うかもしれないよ」
「たしかに……!」
スミレさん言葉に、ぱぁっと目の真が明るくなる。
それはいい作戦だ。
いくら私が料理を作りに行きたくないと言っても、意地悪な拓海が簡単に了解してくれるとは思えない。
それなら、奴の苦手な料理を作って、向こうからもう来るなと言わせればいいんだ!
小さなころから一緒に育ってきた拓海とは何度も一緒に食事をしてきたから、なにが好きでなにが嫌いかなんて熟知してる。
フルーツは好きだけど、生クリームを使った甘いスイーツは嫌い。
塩コショウとか醤油とか、シンプルで単純な味が好き。
そして一番嫌いな料理と聞かれて迷わず答えるのは酢豚。
「スミレさん、ありがとうございます! その作戦でいきますっ!」
覚悟してろよ、拓海。
もう私にご飯を作れなんて言う気をなくすような、料理を作ってやる……!
私はやる気に燃えながら、ぎゅっと強くこぶしを握った。