初詣をあなたと
「えっ…そんなの、とっくに…」
今日、初詣でに来てから一体何回、心を撃ち抜かれたことか。
もうとっくに、私の全てを持っていかれている。
「じゃあ、俺と付き合ってくれるってこと?」
「そ、それは、急過ぎ……」
「急じゃないよ、俺は。ずっと、友達の友達っていう関係をもどかしく感じてた。
もっと近くなりたいって。もっと傍にいたいって。……って、ごめん。やっぱり迷惑?」
ずっと私のことを見てたってこと?
私が関心すらも持っていなかった時から?
そんなことを考えていたら嬉しくて、じわじわと涙が溢れてきた。
綺麗な返事をしたかったけど、泣けて声が震え、少しかすれてしまった。
でも、精一杯の気持ちをのせた。
「ううん、迷惑なんかじゃないよ。ありがとう」
その時、彼の掌が私の頭を3度、優しく撫でた。
「嬉しくて泣きたいのは、こっちの方」
顔を上げて、彼が一体どんな表情しているのか、と見ようとしたら、見るな! と一つ言われて、顔を背けられてしまった。
でも、耳を真っ赤にしているから、何となく予想ができる。
男の子が嬉し泣きしてくれるだなんて、嬉しい。
あけましておめでとうございます。
今年から、どうぞよろしくお願いします。
初詣をあなたと。~女子side~
初詣をあなたと。
おわり。