初詣をあなたと
そんな不安に煽られながら、君の方を振り向いてみた。
その瞬間に見た君の顔は、普段の静かそうな表情ではなかった。
今の俺と同じ様な感情でいるのか、とても不安そうで、今にも泣いてしまいそうだった。
これがきっかけとなって、俺の勇気は一気に沸き上がった。
「手、つないで行かない? 不安だから」
俺も、と心の中で付け足して、引き寄せた。
なんかこれ、彼氏っぽくないか?!
出だし良し!と自分で勝手に納得して、この物凄い人混みをゆっくりと抜けていった。
やっとのことで、お社の前まで来ることができた。
よかったけど、ここまで来るだけで疲れた。
特に、精神的に。
ほっと一息つくと、誰かの息がひどく上がっていることに気がついた。
彼女だった。
「え、どうしたの?」
「ううん…なんでもない…から」
心配して尋ねたのに、彼女に顔を背けられてしまった。
ゆっくり来たつもりだったが、きちんと彼女を気遣ってあげることができなかった。
やばい、嫌われた?
もう会ってくれなくなる?!
そんなショックから、神様に挨拶することすら忘れ、きっと前代未聞、神様に悩み事を打ち明け、相談を持ち掛けた。
まるで、女子高生のノリだったと思う。