初詣をあなたと
少しふわふわした気持ちで、二人で、鳥居をくぐった。
もの凄い人で予想通り、揉みくちゃ状態だった。
手は繋がれているのに、結局は彼の大きな背中を必死に追いかける形になっている。
あんなに立派だったかな。
普段友達として、普通に遊んでいる時は気づかなかった。
背中が思ったよりも、広い。
男の人なんだな、って思えてしまう。
意識したこともなかったのに、こんな時に限って。
意識し始めたらもう、どうしようもない。
いきなり緊張してきて、息の仕方がよくわからなくなってきた。
やっとのことで、賽銭箱の前までたどり着いた。
ずっと息を止めていたから、ひどく息が上がっている。
「え、どうしたの……?」
「ううん……な、何でもない……から……!」
心配した彼が私の顔を覗き込みそうになったのを、慌てて俯いてごまかした。
賽銭箱にご縁があります様に、という願いを込めて、5円玉を投げ入れた。
硬貨と賽銭箱が、ぶつかり合い響く音を聴きながら、願い事を頭の中で唱える。
流れ星ではないけれど、3回繰り返してみた。
しばらくして目を開けて、自分の合わせた手を見つめた。
そして、隣に立つ彼を見ると、彼はまだ目を閉じたままだった。