初詣をあなたと
願い終わったのか、私の方を見た彼は突然、微笑んだ。
私は少し驚きつつも、完全にその笑顔にときめいていた。
何だか、見事にトドメを撃たれた気がする。
気がするんじゃない。
ど真ん中を撃ち抜かれた、ハート型に。
その帰り道に、屋台の温かい甘酒を奢ってもらった。
猫舌には少しばかり厳しい温度だったけど、覚らせない様に必死にそれを啜る。
「大丈夫?」
「えっ?!」
「寒くない?」
「うっ、うん!平気。温かいの飲んでるから、ポカポカしてる」
「俺も」
彼は安堵した様に、優しく笑った。
いちいちその笑顔が眩しく感じて、ずっと見ていられない。
あまりにも堪えられなくて、話題をふった。
「そういえば、何をお願いしたの? 聞いてもいい?」
「えっ?! じゃあ、そっちはなんてお願いした?」
質問したのに、質問返しを決められた。
しかも、ひどく焦っている様子。
一体、何を願ったら、そんな風な反応をするんだろう。