彼の甘い包囲網
「柊、俺は楓と結婚を前提というか絶対に確実に間違いなく結婚するつもりで付き合っているから。
そういうわけでこれからも、よろしく」
結婚?
え?
しかも、絶対に、確実に、間違いなく?
「ちょっと待て!
楓!
本当なのか?
奏多!
楓の腰から手を離せ!」
私を心配して話してくれているのか、奏多に怒っているのかわからない。
「ちょっと柊、落ち着きなよ」
充希くんが冷静に言う。
「うるさい!
楓!
……お前、本当なのか?
本当にそれでいいのか?」
お兄ちゃんの顔をして兄は私に問う。
私は大きく頷いた。
「奏多のことは……ずっと好きだったから。
だけど、け、け、結婚まではちょっと……早いというか、まだ考えていなかったけど」
私の本音に奏多が狼狽える。
「楓、何で!
婚姻届を書いただろ?
すぐ出せるぞ!」
「ちょ、ちょっと待って!
意味わかんないから!
出さないで!」
慌てて奏多を止める。
何でこんなに暴走してるの!
「……奏多。
気持ちはわかるけど、あんまりしつこいと楓ちゃんに嫌われるよ」
充希くんが残念感たっぷりな眼差しで奏多を見る。
「お前、豹変しすぎなんだよ……」
柊兄が胡乱な眼差しを奏多に向ける。
「……悪いか」
奏多は奏多でプイッとそっぽを向く。
子どもみたいな幼い姿。
そんな奏多を見たことがない私は言葉を失う。
「ああ、大丈夫。
昔から楓ちゃんに対しての奏多はいつもこんな感じだったよ。
ただ楓ちゃんに好きって言ってもらえて箍が外れているだけ」
ニッコリと充希くんが何処か黒い微笑みをくれた。
……それはそれでどうなんだろう……。
「……楓。
とにかくお前はいいんだな?
その、奏多と、付き合うことは……」
「う、うん」
改めて実の兄に交際宣言をするのは恥ずかしい。
カアアッと頬が赤く染まる。
「……お前がいいならいい」
兄は渋面をつくりながらも認めてくれた。
「言っとくけど、楓がそうしたいって言ってるからだからな!
俺の妹を泣かしたら別れさせてやるからな!」
しっかり奏多に釘をさすことは忘れずに。
「そんなこと俺がするわけないだろ」
奏多はハッキリと言い切ってくれた。
それを聞いて私の胸が熱くなった。
「それより、楓を呼びすてにするな!」
「はあ?
俺は兄だ!
お前こそ呼ぶな!」
……意味のわからない応酬はしていたけれど。
そういうわけでこれからも、よろしく」
結婚?
え?
しかも、絶対に、確実に、間違いなく?
「ちょっと待て!
楓!
本当なのか?
奏多!
楓の腰から手を離せ!」
私を心配して話してくれているのか、奏多に怒っているのかわからない。
「ちょっと柊、落ち着きなよ」
充希くんが冷静に言う。
「うるさい!
楓!
……お前、本当なのか?
本当にそれでいいのか?」
お兄ちゃんの顔をして兄は私に問う。
私は大きく頷いた。
「奏多のことは……ずっと好きだったから。
だけど、け、け、結婚まではちょっと……早いというか、まだ考えていなかったけど」
私の本音に奏多が狼狽える。
「楓、何で!
婚姻届を書いただろ?
すぐ出せるぞ!」
「ちょ、ちょっと待って!
意味わかんないから!
出さないで!」
慌てて奏多を止める。
何でこんなに暴走してるの!
「……奏多。
気持ちはわかるけど、あんまりしつこいと楓ちゃんに嫌われるよ」
充希くんが残念感たっぷりな眼差しで奏多を見る。
「お前、豹変しすぎなんだよ……」
柊兄が胡乱な眼差しを奏多に向ける。
「……悪いか」
奏多は奏多でプイッとそっぽを向く。
子どもみたいな幼い姿。
そんな奏多を見たことがない私は言葉を失う。
「ああ、大丈夫。
昔から楓ちゃんに対しての奏多はいつもこんな感じだったよ。
ただ楓ちゃんに好きって言ってもらえて箍が外れているだけ」
ニッコリと充希くんが何処か黒い微笑みをくれた。
……それはそれでどうなんだろう……。
「……楓。
とにかくお前はいいんだな?
その、奏多と、付き合うことは……」
「う、うん」
改めて実の兄に交際宣言をするのは恥ずかしい。
カアアッと頬が赤く染まる。
「……お前がいいならいい」
兄は渋面をつくりながらも認めてくれた。
「言っとくけど、楓がそうしたいって言ってるからだからな!
俺の妹を泣かしたら別れさせてやるからな!」
しっかり奏多に釘をさすことは忘れずに。
「そんなこと俺がするわけないだろ」
奏多はハッキリと言い切ってくれた。
それを聞いて私の胸が熱くなった。
「それより、楓を呼びすてにするな!」
「はあ?
俺は兄だ!
お前こそ呼ぶな!」
……意味のわからない応酬はしていたけれど。