彼の甘い包囲網
「んっ」
ガッチリ、キスされた。
朝なのに。
……朝なのに!
唇を吸われる。
長いキス。
奏多はクスクス楽しそうに私の顎を長い指で挟んで笑んでいる。
必死で奏多から離れる。
「ちょ、奏多!
えっ、何で!
私、昨日は……!」
思わずガバッと起き上がる。
「えっ!
イッタァ……」
「弱いくせに飲むから」
呆れ声の奏多が身体を起こしてベッドの縁に腰かけた。
それからそうっと私の身体をベッドに横たわらせてくれた。
私の髪を撫でる長く骨ばった指はどこまでも優しい。
痛みのため、無言で睨み返す私に。
「……何で俺が睨まれる?
可愛いから許すけど」
奏多が私の鼻にちゅ、と軽くキスをした。
「お前、俺が迎えに行ったこと、覚えてないだろ?」
楽しそうに奏多は口角をあげて微笑む。
……マズイ。
全然覚えていない。
私の表情でわかったのか、奏多はクスクス笑いながら続きを話してくれた。
「十時頃までには店を出る予定って言ってたくせに、お前から全く連絡がなくて。
スマホに連絡したら紗也ちゃんが出て。
楓が酔い潰れて何やら怪しげなことを叫びながら寝落ちしたって言われて、迎えに行ったの」
「……ドウモスミマセン」
言い返す言葉もなくしゅんと項垂れる。
「楓を迎えに行くのは全然構わない。
元々行く気だったし。
っつーか、迎えにいかなきゃ心配で俺が困るから。
でも皆には迷惑かけてるし、後で謝っておけよ?」
私の頬を手の甲でサラリと撫で上げる。
「……うん」
よくできました、と奏多は極上の笑みを浮かべた。
寝起きなのに、何て眩しい笑顔。
「じゃ、ここからは大事な話」
途端に周囲の気温が下がった気がした。
奏多の声も驚く程低い。
口元は緩く弧を描いているけれど、綺麗な瞳は眇められて威圧的な雰囲気を醸し出す。
基本的に奏多は私には滅多に怒らない。
なので、怒られると本当に恐い。
背筋にゾクリと悪寒が走る。
ガッチリ、キスされた。
朝なのに。
……朝なのに!
唇を吸われる。
長いキス。
奏多はクスクス楽しそうに私の顎を長い指で挟んで笑んでいる。
必死で奏多から離れる。
「ちょ、奏多!
えっ、何で!
私、昨日は……!」
思わずガバッと起き上がる。
「えっ!
イッタァ……」
「弱いくせに飲むから」
呆れ声の奏多が身体を起こしてベッドの縁に腰かけた。
それからそうっと私の身体をベッドに横たわらせてくれた。
私の髪を撫でる長く骨ばった指はどこまでも優しい。
痛みのため、無言で睨み返す私に。
「……何で俺が睨まれる?
可愛いから許すけど」
奏多が私の鼻にちゅ、と軽くキスをした。
「お前、俺が迎えに行ったこと、覚えてないだろ?」
楽しそうに奏多は口角をあげて微笑む。
……マズイ。
全然覚えていない。
私の表情でわかったのか、奏多はクスクス笑いながら続きを話してくれた。
「十時頃までには店を出る予定って言ってたくせに、お前から全く連絡がなくて。
スマホに連絡したら紗也ちゃんが出て。
楓が酔い潰れて何やら怪しげなことを叫びながら寝落ちしたって言われて、迎えに行ったの」
「……ドウモスミマセン」
言い返す言葉もなくしゅんと項垂れる。
「楓を迎えに行くのは全然構わない。
元々行く気だったし。
っつーか、迎えにいかなきゃ心配で俺が困るから。
でも皆には迷惑かけてるし、後で謝っておけよ?」
私の頬を手の甲でサラリと撫で上げる。
「……うん」
よくできました、と奏多は極上の笑みを浮かべた。
寝起きなのに、何て眩しい笑顔。
「じゃ、ここからは大事な話」
途端に周囲の気温が下がった気がした。
奏多の声も驚く程低い。
口元は緩く弧を描いているけれど、綺麗な瞳は眇められて威圧的な雰囲気を醸し出す。
基本的に奏多は私には滅多に怒らない。
なので、怒られると本当に恐い。
背筋にゾクリと悪寒が走る。