彼の甘い包囲網
千春さんは私をジッと見つめた。
「私達の両親は表面上は政略結婚だったけど、実は恋愛結婚だったから。
私達に望まない結婚を強いる人達ではないわ。
グループの経営状態も良好だし、差し迫って婚姻関係を結ばなければいけない事情もないの。
でもね、成長するにつれて、反抗期なのか思春期なのかモテ出して、面倒くさい愚弟になっちゃったのよね。
あんな外見の何がいいのかしら?」
ね、と問いかけられて答えに詰まる。
千春さん、奏多の外見は間違いなく格別です!
千春さんと奏多が並ぶと美し過ぎて近づきがたいです……。
「でもどれだけモテても奏多が本気になる女子は一人もいなかった。
だけど、楓ちゃんに出逢った」
千春さんが真剣な瞳を私に向ける。
私は瞬きを忘れて千春さんを見つめ返した。
「凄かったのよ。
柊くんから楓ちゃんのことは粘着質に聞き出すわ、両親に将来を見据えて話をし出すわ、引っ越すわ。
楓ちゃんに近付きそうな男子は柊くんを巻き込んで容赦なく排除してね。
楓ちゃんと付き合ってもいないのに。
私は写真でしか楓ちゃんに会っていなかったけれど、奏多の執着から逃がしてあげたいって本気で何回か思ったもの」
カラカラと笑いながら千春さんは物騒なことを言う。
……頬が熱い。
顔が真っ赤になっていることがわかる。
「私、楓ちゃんが大好きだから妹になってくれたらとても嬉しいのだけど……でも本気で嫌になったら言ってね!
私がアイツを成敗してあげるから」
私は小さく苦笑して千春さんに伝える。
「あ、あの、私も奏多が大好き、です。
奏多にたくさん、温かい気持ちを、幸せをもらっています。
どうして奏多が私を選んでくれたのかはわからないんですけど……」
体温がジワリと上がるのを感じながら千春さんに伝えた。
私の本心。
私の決意。
正直、今日のことで私の心は随分疲弊したし、弱っている。
泣いてしまうほどに。
だからこそ。
千春さんは私に奏多の話をしてくれたのだろうと思った。
「いやぁん!
もう楓ちゃんってば何てイイコなの!
私がずっと守ってあげる!
奏多には勿体ないわ!
そうね、今後のことも考えて楓ちゃんの護衛も増やさなくちゃ!」
ギュッと私の手を握りしめながら千春さんは息巻く。
「……?
あの、千春さん、護衛って?」
「?
楓ちゃんの護衛よ?
楓ちゃんには何年も前から護衛が付いてるわよ?」
サラリと言われて頬がひきつる。
「ええっ!」
「知らなかったの?
奏多が大事な楓ちゃんを野放しにするわけないじゃない。
だから柊くんも今日、楓ちゃんの動向がすぐにわかったのよ。
まあ、普段はそこまでベッタリ楓ちゃんに張り付いているわけじゃないから安心して?
楓ちゃんにもしものことがないため、だから」
「私達の両親は表面上は政略結婚だったけど、実は恋愛結婚だったから。
私達に望まない結婚を強いる人達ではないわ。
グループの経営状態も良好だし、差し迫って婚姻関係を結ばなければいけない事情もないの。
でもね、成長するにつれて、反抗期なのか思春期なのかモテ出して、面倒くさい愚弟になっちゃったのよね。
あんな外見の何がいいのかしら?」
ね、と問いかけられて答えに詰まる。
千春さん、奏多の外見は間違いなく格別です!
千春さんと奏多が並ぶと美し過ぎて近づきがたいです……。
「でもどれだけモテても奏多が本気になる女子は一人もいなかった。
だけど、楓ちゃんに出逢った」
千春さんが真剣な瞳を私に向ける。
私は瞬きを忘れて千春さんを見つめ返した。
「凄かったのよ。
柊くんから楓ちゃんのことは粘着質に聞き出すわ、両親に将来を見据えて話をし出すわ、引っ越すわ。
楓ちゃんに近付きそうな男子は柊くんを巻き込んで容赦なく排除してね。
楓ちゃんと付き合ってもいないのに。
私は写真でしか楓ちゃんに会っていなかったけれど、奏多の執着から逃がしてあげたいって本気で何回か思ったもの」
カラカラと笑いながら千春さんは物騒なことを言う。
……頬が熱い。
顔が真っ赤になっていることがわかる。
「私、楓ちゃんが大好きだから妹になってくれたらとても嬉しいのだけど……でも本気で嫌になったら言ってね!
私がアイツを成敗してあげるから」
私は小さく苦笑して千春さんに伝える。
「あ、あの、私も奏多が大好き、です。
奏多にたくさん、温かい気持ちを、幸せをもらっています。
どうして奏多が私を選んでくれたのかはわからないんですけど……」
体温がジワリと上がるのを感じながら千春さんに伝えた。
私の本心。
私の決意。
正直、今日のことで私の心は随分疲弊したし、弱っている。
泣いてしまうほどに。
だからこそ。
千春さんは私に奏多の話をしてくれたのだろうと思った。
「いやぁん!
もう楓ちゃんってば何てイイコなの!
私がずっと守ってあげる!
奏多には勿体ないわ!
そうね、今後のことも考えて楓ちゃんの護衛も増やさなくちゃ!」
ギュッと私の手を握りしめながら千春さんは息巻く。
「……?
あの、千春さん、護衛って?」
「?
楓ちゃんの護衛よ?
楓ちゃんには何年も前から護衛が付いてるわよ?」
サラリと言われて頬がひきつる。
「ええっ!」
「知らなかったの?
奏多が大事な楓ちゃんを野放しにするわけないじゃない。
だから柊くんも今日、楓ちゃんの動向がすぐにわかったのよ。
まあ、普段はそこまでベッタリ楓ちゃんに張り付いているわけじゃないから安心して?
楓ちゃんにもしものことがないため、だから」