彼の甘い包囲網
護衛って……。
話の次元が違いすぎる。
千春さんは涼しい顔でロイヤルミルクティーを綺麗な所作で飲んでいる。
「……で。
美坂建設のお嬢さん、瑠璃さんの話ね」
先程までとは一転して真剣な声音の千春さんに私も佇まいを直す。
千春さんの瞳に浮かぶ困惑に不安が過る。
「……奏多はモテてたって言ったでしょ?
何人かは、奏多に本気で執心する女の子がいたの。
その筆頭が瑠璃さんだった。
……幸か不幸か、仕事関係でも関わりがあってね。
口約束だけど婚約者に、なんて話が出たこともあったの。
……彼女は希望を持っていたのね」
千春さんは言い淀む。
奏多が女の子達と遊んでいたことは聞いていたし、知っている。
あの容姿に、頭脳明晰、蜂谷グループの御曹司ともなれば周囲が放っておかないこともわかる。
……恋は残酷だ。
本気であればあるほど、一番になりたくなる。
その人の唯一になりたいと願う。
その瞳に映る人は自分だけでありたいと。
どれだけ強く想っても選んでもらえるとは限らない。
その腕に守られて、選ばれる人はたった一人。
今、私は選んでもらえたけれど、これから先ずっと奏多に選んでもらえるのだろうか。
そもそもどうして奏多は私を選んでくれたのだろうか。
そのことをいつも考える。
奏多にとって私という存在はプラスになるのかと。
話の次元が違いすぎる。
千春さんは涼しい顔でロイヤルミルクティーを綺麗な所作で飲んでいる。
「……で。
美坂建設のお嬢さん、瑠璃さんの話ね」
先程までとは一転して真剣な声音の千春さんに私も佇まいを直す。
千春さんの瞳に浮かぶ困惑に不安が過る。
「……奏多はモテてたって言ったでしょ?
何人かは、奏多に本気で執心する女の子がいたの。
その筆頭が瑠璃さんだった。
……幸か不幸か、仕事関係でも関わりがあってね。
口約束だけど婚約者に、なんて話が出たこともあったの。
……彼女は希望を持っていたのね」
千春さんは言い淀む。
奏多が女の子達と遊んでいたことは聞いていたし、知っている。
あの容姿に、頭脳明晰、蜂谷グループの御曹司ともなれば周囲が放っておかないこともわかる。
……恋は残酷だ。
本気であればあるほど、一番になりたくなる。
その人の唯一になりたいと願う。
その瞳に映る人は自分だけでありたいと。
どれだけ強く想っても選んでもらえるとは限らない。
その腕に守られて、選ばれる人はたった一人。
今、私は選んでもらえたけれど、これから先ずっと奏多に選んでもらえるのだろうか。
そもそもどうして奏多は私を選んでくれたのだろうか。
そのことをいつも考える。
奏多にとって私という存在はプラスになるのかと。