彼の甘い包囲網
翌朝。
久しぶりに晴れやかな気分で目覚めた。
ペパーミントグリーンの優しい色合いのカーテンの隙間から朝の明るい日射しが差し込む。
私が一人立ち止まって悩んでいる間に、季節は変わり、夏の足音が聞こえてきていた。
出勤する準備をしてリビングに現れた私を、千春さんは笑顔で迎えてくれた。
「おはよう、楓ちゃん。
よく眠れた?
顔色、良くなったわね!
……奏多と話せた?
ちゃんと気持ちを聞けた?」
「な、何で知ってるんですか?!」
「フフッ。
楓ちゃんの顔にかいてあるわ」
バッと両頬に手を当てる私。
体温がブワッと上昇する。
「何て、嘘!
散々、奏多には抗議の電話とメールを送りつけたから。
連絡してくると思ってたの。
これ以上楓ちゃんを悲しませるようだったら私が殴り込みに行くところよ」
笑顔で物騒なことを言う千春さんに、お礼を伝えた。
「千春さん、本当にたくさん心配してくださってありがとうございました。
迷惑もいっぱいかけてしまって……」
「何言っているの!
うちの弟が迷惑かけてばかりでごめんね。
帰ってきたら取り敢えず説教するから、見捨てないであげて」
本気でお説教をしそうな千春さんに思わず笑って、一緒に朝食をいただいた。
迎えに来てくれた柊兄にも顔色を指摘された。
理由を既に知っているのか、何故か少しだけ不機嫌になっていた。
「色々ごめんね。
お兄ちゃんも自分の仕事があって忙しいのに、
私、本当に自分のことでイッパイイッパイになりすぎていて……」
車を降りる直前に私が伝えると。
小さな頃から私を慰めてくれる『お兄ちゃん』の顔で。
「お前は俺の妹だろ。
変なこと気にせずに甘えてろ」
と耳を赤くしながら髪をクシャッと撫でられた。
私は晴れやかな笑顔を兄に向けて会社のエントランスをくぐった。
久しぶりに晴れやかな気分で目覚めた。
ペパーミントグリーンの優しい色合いのカーテンの隙間から朝の明るい日射しが差し込む。
私が一人立ち止まって悩んでいる間に、季節は変わり、夏の足音が聞こえてきていた。
出勤する準備をしてリビングに現れた私を、千春さんは笑顔で迎えてくれた。
「おはよう、楓ちゃん。
よく眠れた?
顔色、良くなったわね!
……奏多と話せた?
ちゃんと気持ちを聞けた?」
「な、何で知ってるんですか?!」
「フフッ。
楓ちゃんの顔にかいてあるわ」
バッと両頬に手を当てる私。
体温がブワッと上昇する。
「何て、嘘!
散々、奏多には抗議の電話とメールを送りつけたから。
連絡してくると思ってたの。
これ以上楓ちゃんを悲しませるようだったら私が殴り込みに行くところよ」
笑顔で物騒なことを言う千春さんに、お礼を伝えた。
「千春さん、本当にたくさん心配してくださってありがとうございました。
迷惑もいっぱいかけてしまって……」
「何言っているの!
うちの弟が迷惑かけてばかりでごめんね。
帰ってきたら取り敢えず説教するから、見捨てないであげて」
本気でお説教をしそうな千春さんに思わず笑って、一緒に朝食をいただいた。
迎えに来てくれた柊兄にも顔色を指摘された。
理由を既に知っているのか、何故か少しだけ不機嫌になっていた。
「色々ごめんね。
お兄ちゃんも自分の仕事があって忙しいのに、
私、本当に自分のことでイッパイイッパイになりすぎていて……」
車を降りる直前に私が伝えると。
小さな頃から私を慰めてくれる『お兄ちゃん』の顔で。
「お前は俺の妹だろ。
変なこと気にせずに甘えてろ」
と耳を赤くしながら髪をクシャッと撫でられた。
私は晴れやかな笑顔を兄に向けて会社のエントランスをくぐった。