彼の甘い包囲網
「奏多っ。
何であんな意味わかんない話になるの、何で引き受けるのっ?」
怒濤の夕食後、部屋に戻った私は奏多に詰問する。
「んー?
別にお前にとってマイナスな話じゃないだろ」
シレッとテレビを付けながら奏多が生返事を返す。
「いや、マイナスとかそういうことじゃなくて……!
レポートはお兄ちゃんや他の人にもお願いできるし!」
「はあ?
お前、他の男に指導してほしいの?
俺が付きっきりで指導してやるっていうのに?
他の男にお前を俺が任せるわけないだろ」
「そんなこと言ってないってば!
しかも何で男性なの!」
「じゃあ、どういう意味だよ?
俺じゃ不満なわけ?」
冷たい視線を私に向けて近付いてくる悪い男。
口角をあげた笑みは妙な色香を放つ。
「そんなことは、ない、けど」
「な、ホラ、よかっただろ?」
ポン、と私の頭の上に優しく手を乗せる奏多。
「で、でもっ奏多には何もイイコトなくない?
忙しい時間を割いてもらうのに、晩御飯食べるだけって……」
言い募る私に。
「公然とお前に会えるんだ。
それ以上の報酬なんてあるわけないだろ」
何を言っているんだ、と言わんばかりの表情で奏多が整然と言ってのけた。
ドクン。
その言葉に。
大きく心が揺れた。
いつもそうだ。
真っ直ぐな奏多の言葉はいつも容赦なく私の心に入り込んで揺さぶる。
「それに。
お前、前に言ったよな?
何でも言うこと聞いてくれるって」
ニッコリと目映いばかりの笑顔を向ける奏多。
「……い、言ったけど……何?」
「お前が卒業したら言う、かな?」
物凄く嬉しそうだ。
「え、もう決まってるの?」
「ああ」
「い、言っとくけど高価な物とかは無理だよ?」
「そんなんじゃねえよ、お前にしかできないことだよ」
それ以上は内緒、と長い人差し指を唇にあてて、奏多は楽しそうに笑った。
何であんな意味わかんない話になるの、何で引き受けるのっ?」
怒濤の夕食後、部屋に戻った私は奏多に詰問する。
「んー?
別にお前にとってマイナスな話じゃないだろ」
シレッとテレビを付けながら奏多が生返事を返す。
「いや、マイナスとかそういうことじゃなくて……!
レポートはお兄ちゃんや他の人にもお願いできるし!」
「はあ?
お前、他の男に指導してほしいの?
俺が付きっきりで指導してやるっていうのに?
他の男にお前を俺が任せるわけないだろ」
「そんなこと言ってないってば!
しかも何で男性なの!」
「じゃあ、どういう意味だよ?
俺じゃ不満なわけ?」
冷たい視線を私に向けて近付いてくる悪い男。
口角をあげた笑みは妙な色香を放つ。
「そんなことは、ない、けど」
「な、ホラ、よかっただろ?」
ポン、と私の頭の上に優しく手を乗せる奏多。
「で、でもっ奏多には何もイイコトなくない?
忙しい時間を割いてもらうのに、晩御飯食べるだけって……」
言い募る私に。
「公然とお前に会えるんだ。
それ以上の報酬なんてあるわけないだろ」
何を言っているんだ、と言わんばかりの表情で奏多が整然と言ってのけた。
ドクン。
その言葉に。
大きく心が揺れた。
いつもそうだ。
真っ直ぐな奏多の言葉はいつも容赦なく私の心に入り込んで揺さぶる。
「それに。
お前、前に言ったよな?
何でも言うこと聞いてくれるって」
ニッコリと目映いばかりの笑顔を向ける奏多。
「……い、言ったけど……何?」
「お前が卒業したら言う、かな?」
物凄く嬉しそうだ。
「え、もう決まってるの?」
「ああ」
「い、言っとくけど高価な物とかは無理だよ?」
「そんなんじゃねえよ、お前にしかできないことだよ」
それ以上は内緒、と長い人差し指を唇にあてて、奏多は楽しそうに笑った。