彼の甘い包囲網
条件
あの日から。
奏多は何回か私に婚姻届を書いたか確認してきた。
ちなみに、書いていない。
書く筈がない。
というか、奏多が何を考えているのかわからない。
柊兄に相談しようかと思ったが、火に油を注ぎそうなのでやめた。
両親は舞い上がりそうなので言わなかった。
唯一、紗也と鈴ちゃんには相談したけれど。
二人とも驚愕していた。
「……いや、何かしら今回のことで行動するだろうとは思ってたけど……予想外ね」
「えー、そう?
さっすが、蜂谷さん!
乙女の夢をよくわかっているわあ」
「いや、何て言うか……何の冗談かと……」
私達はいつもの中庭でお弁当を食べて、話をしていた。
「冗談なの?」
鈴ちゃんが丸い瞳を見開いて私に聞き返した。
「……わからない。
奏多はいつも本心を教えてくれないから」
俯く私に。
「……でもそれって楓も同じじゃない?」
冷静な紗也の声が響いた。
「え……?」
「あー、そっかぁ。
楓ちゃんも蜂谷さんに肝心なこと言わないもんね」
納得、と鈴ちゃんが頷く。
奏多は何回か私に婚姻届を書いたか確認してきた。
ちなみに、書いていない。
書く筈がない。
というか、奏多が何を考えているのかわからない。
柊兄に相談しようかと思ったが、火に油を注ぎそうなのでやめた。
両親は舞い上がりそうなので言わなかった。
唯一、紗也と鈴ちゃんには相談したけれど。
二人とも驚愕していた。
「……いや、何かしら今回のことで行動するだろうとは思ってたけど……予想外ね」
「えー、そう?
さっすが、蜂谷さん!
乙女の夢をよくわかっているわあ」
「いや、何て言うか……何の冗談かと……」
私達はいつもの中庭でお弁当を食べて、話をしていた。
「冗談なの?」
鈴ちゃんが丸い瞳を見開いて私に聞き返した。
「……わからない。
奏多はいつも本心を教えてくれないから」
俯く私に。
「……でもそれって楓も同じじゃない?」
冷静な紗也の声が響いた。
「え……?」
「あー、そっかぁ。
楓ちゃんも蜂谷さんに肝心なこと言わないもんね」
納得、と鈴ちゃんが頷く。