幸せになってね……。
「それじゃ……私、帰るね」
「うん。気をつけてね」
綺麗な顔が少しだけ、悲しみに染まる。
僕は笑顔でさよならの挨拶をする。だけど、それはみゆきが一番嫌がる事。
「空……『さよなら』だけは言わないで」
「ゴ、ゴメンね……。それじゃまた明日」
そう言って、みゆきを笑顔で見送る。
みゆきも同じように笑顔になり、部屋を出て行く間際に振り返って手を振っていく。
静かになった部屋の中、残された僕はゆっくりと天井を見つめる。染み一つない天上は、真っ白。無機質な蛍光灯が呼吸をするように瞬く。それが、現実だと教えてくれる。
まだ、僕はここにいると言う事を。だけど、ここからは抜け出せない。この病院のベットが、この部屋が僕の住まい。もう随分と長い事、ここにいる。でも、もう時間がない。後、どれだけ一緒にいられるのか。ただ、それだけが頭を駆け巡る。
「みゆき……。ごめんね」
声が雫となり頬を濡らす。滲む世界は僕に何も語りかけてこない。
――僕は死ぬ。
ただ、それだけは分かっている。
子供の頃から心臓が弱かった僕は入退院を繰り返していた。
辛い発作や身体が痛くなる薬。それらから逃げ出したかった僕は、一時期自ら命を絶つ事を考えた事もあった。
学校にも、ほとんど通えなくて友達も出来ない。そんな時に僕はみゆきに出会った。
僕と同じクラスの女の子、それがみゆきだった。とても元気な女の子。僕にはないものを全部、持っている女の子。一緒に過ごす内に僕は、みゆきの事が好きになっていた。でも、それは伝えてはいけない。僕はいなくなる人間。
でも、あの時のみゆきの笑顔は、今でも忘れらない。
『私は……空君の事、ずっと好きだったよ』
そう言ってくれたみゆきの声と表情。仕草は、今でも僕の心に刻まれている。僕に元気をくれたみゆき。
でも僕は何もお返しが出来ていない。だから、もう少し生きていたい。
お返しをするまでは――。
「うん。気をつけてね」
綺麗な顔が少しだけ、悲しみに染まる。
僕は笑顔でさよならの挨拶をする。だけど、それはみゆきが一番嫌がる事。
「空……『さよなら』だけは言わないで」
「ゴ、ゴメンね……。それじゃまた明日」
そう言って、みゆきを笑顔で見送る。
みゆきも同じように笑顔になり、部屋を出て行く間際に振り返って手を振っていく。
静かになった部屋の中、残された僕はゆっくりと天井を見つめる。染み一つない天上は、真っ白。無機質な蛍光灯が呼吸をするように瞬く。それが、現実だと教えてくれる。
まだ、僕はここにいると言う事を。だけど、ここからは抜け出せない。この病院のベットが、この部屋が僕の住まい。もう随分と長い事、ここにいる。でも、もう時間がない。後、どれだけ一緒にいられるのか。ただ、それだけが頭を駆け巡る。
「みゆき……。ごめんね」
声が雫となり頬を濡らす。滲む世界は僕に何も語りかけてこない。
――僕は死ぬ。
ただ、それだけは分かっている。
子供の頃から心臓が弱かった僕は入退院を繰り返していた。
辛い発作や身体が痛くなる薬。それらから逃げ出したかった僕は、一時期自ら命を絶つ事を考えた事もあった。
学校にも、ほとんど通えなくて友達も出来ない。そんな時に僕はみゆきに出会った。
僕と同じクラスの女の子、それがみゆきだった。とても元気な女の子。僕にはないものを全部、持っている女の子。一緒に過ごす内に僕は、みゆきの事が好きになっていた。でも、それは伝えてはいけない。僕はいなくなる人間。
でも、あの時のみゆきの笑顔は、今でも忘れらない。
『私は……空君の事、ずっと好きだったよ』
そう言ってくれたみゆきの声と表情。仕草は、今でも僕の心に刻まれている。僕に元気をくれたみゆき。
でも僕は何もお返しが出来ていない。だから、もう少し生きていたい。
お返しをするまでは――。