秘書室長と鉄壁女子の攻防戦


どんな顔をしてるか、私のほうが秘書室長に言ってやりたい。

眼鏡越しに極上の甘い顔を見せられて、私はどうしたらいいのか困ってしまう。

何度も思うけど、この人は本当に堅物で有名な秘書室長なんだろうか?

チラッと秘書室長に視線を向けると、その横顔は真剣そのもので、真面目な雰囲気が漂っている。

エレベーターが最上階に到着すると、和服姿の女将さんらしき人が店内に案内してくれた。

「近藤様、いらっしゃいませ。本日は個室をご用意させていただきました」

どうやら予約を入れてくれていたみたい。

しかも個室。

エレベーターの中で気づいたけど、ここは超高級ホテルの最上階の和食のお店のようで、雰囲気でさえ高級感が漂っている。

一番奥の個室に通されると、テーブルの上にはすでにたくさんの料理が並んでいる。

女将さんは鍋物に火を付けると、そそくさと個室の扉を閉めた。


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