「彼」が死んだ日、「世界」が壊れた日
「みさきぃ」


早く帰ってきなさいよ。
そんでまたわたしと遊びなさいよ。
いきなりいなくなるなんて絶対駄目なんだからね。

駄目、なんだから。

やっぱり今のわたしは空に侵されている。
真っ青な空に染められて、おまけに心の中も曇ってきた。

ああ、やばい、また泣きそう。


「そこのお嬢さん」


そんなとき、後ろから声をかけられた。
いきなりのことで驚き、勢いよく振り向くと、そこにはセールスマンのような身形をした男がいた。
潤んでいた瞳がいきなり乾いたような気がした。
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