「彼」が死んだ日、「世界」が壊れた日
「倖ちゃん、もういいわ。このままじゃ倖ちゃんまで学校に遅刻しちゃうから、先に行っていて? あとはおばさんが何とかするから」


盛大な溜め息からお母さんの呆れた顔が浮かぶ。

悲しみと後悔。
それからわたしを心配してくれている人たちに応えられない腹立たしさ。

涙は更にひどくなって。
わたしはぐしょぐしょに濡れた手でひたすら涙を拭う。


「そうですか……。それじゃあ、先に行きますね。いい? ちゃんと来るんだよ、美里!」


ごめん、ごめんね。
迷惑かけちゃって、ごめんなさい。

だけど学校になんて行く気分じゃない。
御崎がいない学校なんて、わたしは行けない。

彼の存在はわたしに大きな影響を齎した。
それはいい意味でも、悪い意味でも。


だから、「御崎が死んだこと」は「わたしの世界が壊れたこと」と同じなのだ。


彼のいない学校なんて、彼のいない世の中なんて、ただのガラクタ。
彼を失ったわたしなんて、もう何の意味もない、ただのマリオネット。
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