「彼」が死んだ日、「世界」が壊れた日
return past
...1
体を取り巻く異様なほどの倦怠感。
目を開けても視界はぼやけて、焦点は定まらない。
数秒後やっと分かる。
わたしはベッドの中にいた。
「うう……」
奇妙な呻き声をあげて、わたしはのそのそと起き上がった。
まず、周囲を確認する。
ここがどこか、本当に自分の家なのか、などとどうでもいいことを。
だけどいくら見てもそれは自分の部屋に変わりなくって。
ベッドの上でぽかんと口を開けて、脳内に浮かんだ言葉を呟いてみる。
ああ、もしかして。
「あれは、夢?」
御崎が死んだことも。
あの男と出会ったことも。
全部、夢?