「彼」が死んだ日、「世界」が壊れた日
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たぶん一年前くらいのことだろう。
御崎と仲のいい友達が、ある家を指して言った。
「これが御崎の家だ」と。
はて。
そう言って指差した家はどこだったか。
小さな脳で、一生懸命考える。
わたしは最初に、御崎の家を訪れようと思った。
御崎は今日映画館に行く途中でトラックに轢かれたと聞いたので、映画館に行くのを阻止しようと考えたのだ。
だが、一番必要としている御崎の家が、中々思いだせない。
わたしはとりあえず、通っている学校の学区を適当に歩くことにした。
御崎という苗字はあまりあるものではない。
だから一軒一軒の表札を確かめながら歩いた。
それは気の遠くなるような作業に思えたが、御崎の家はすぐに見つかった。
もしかしてこれは奇跡かもしれない、なんてばかなことを考えながら、御崎の家の敷地に足を踏み入れる。