「彼」が死んだ日、「世界」が壊れた日
なぜだろう。
いつもの通学路なのに、今日はやけにぼやっとして見える。


頭が痛い。
吐き気がする。
体が重い。
思い通りに動いてくれない。

むしゃくしゃする。

彼の死に。
母の態度に。
友に落胆される自分に。


「……そうだ。顔、洗わなきゃ」


ふとそんなことを思いつき、近くにあった公園で顔を洗う。

冷たい水に、やっと自分が落ち着いていくのが分かった。
おもむろに周りの空気を吸ってみると、全身が清々しくなっていく。


そしてはっきりとした頭で浮かぶのは。
ああ……やはり。


彼が死んだこと。

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