「彼」が死んだ日、「世界」が壊れた日
わたしはそれだけでじゅうぶんだから。
御崎の笑顔さえ見られればもういいから。

御崎、聞いて?

トラックに轢かれるなんてばかみたいなこと、二度と起こさないでよね。
もうわたしはいないんだから。
自分の命を犠牲にしてまであんたを助けようとするばかはわたしくらいなんだから。

そして、また同じような毎日に戻るんだよ。

まあわたしがいないから前と同じじゃないけど、御崎はわたしがいなくなっても別に平気だよね?
わたしがいなくなっても、御崎には代わりがいっぱいいるもの。
代わりじゃなくたって、御崎の周りにはたくさんの人がいるもの。

だから寂しくないよね。


「御崎……ありがとう」


今までありがとう。
生きるってことがこんなに楽しいって教えてくれて、ありがとう。
生きるのが辛いと思いながら死んでいくはずだったのに、御崎が救ってくれた。
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