「彼」が死んだ日、「世界」が壊れた日
「……それなら、わたしが命を売り渡したことも知っているんでしょ」
「おっちゃんが言ってた。わたしならお前を救えるって。なんでも頼んでいいって。だから俺は頼んだんだ」
まだアスファルトと向き合ったまま、わたしは言った。
だけども御崎はわたしの言葉を無視して、無邪気に笑いながら――
――あれ?
でもあの人、ただでは願いを叶えてくれるわけじゃ、なかった、よね?
「頼むって……嘘、だってそれって……」
脳が活性化する。
わたしはいきおいよく顔をあげ、御崎のほうを見つめた。
御崎もわたしを見つめていた。
相変わらず口に笑みを浮かべていたけれど、その笑顔はどことなく儚げだった。