「彼」が死んだ日、「世界」が壊れた日


「美里を、もとの世界にかえしてくださいって」


過去に行く。
すなわち、他人の運命を変えることをする。
過去を、未来を、何かを寝ず曲げることにより、誰かの人生は簡単に変わる。

その対価は、「命」でしか払えない。

男はこのようなことを言っていた。
ということは、御崎がしようとしていることは……。


「あー、正確には、元通りにしてくださいってことなんだけどね。美里はもといたとこに戻って、俺が交通事故で死ぬの。ように、美里は過去に来たっていう事実は消してってことだよ」


告げられた事実に、身が竦んだ。
そんなわたしを無視して、御崎は言葉を続ける。


「これでいいわけだ。世界は元通りになる。お前は生きる。俺は死ぬ。あの人に命払えとかなんとか言われたけど、俺は今日死ぬ設定なんだし。あはは、笑っちまうような」


何が笑えるのよ。
怒りをおさえるため、拳をぎゅっと握った。
だけども、わたしの抱える怒りは、その程度でおさまるものではない。
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