「彼」が死んだ日、「世界」が壊れた日
中学二年生になり、初めて隣になった人が御崎だった。
一年のときは違うクラスだったけれど、有名な人だったのでわたしでも知っていた。
人懐っこくて、格好良くて、話し上手。
わたしには一生縁のないような人だと思っていた。
だけど距離は一気に縮まり、わたしは御崎を好きな人たちに恨まれるんじゃないかとひやひやしていた。
そんなわたしの悩みなど知らずに、御崎はわたしに話しかけてきた。
まるで友達相手に話すかのようで、フレンドリーに、気軽に。
あまり人と話すことがないわたしは、ぎこちないながらも返事をしていた。
だけど心の中では不安でいっぱい。
この人、わたしと話していてつまんなくないのかな。
みんなみたいに面白い話もできないわたしとなんか話しているよりも、他の人と喋ったほうがいいのに。
不安の渦に飲み込まれそうなわたしを救ってくれたのも、御崎だった。
「なんでそんなに自信なさそうなの。豊橋さん、喋れば面白いし、反応可愛いし、もったいないよ」
今までにかけられたことのない言葉。
ありえない、と思った。
だけど少しだけ、心が軽くなったのを覚えている。