「彼」が死んだ日、「世界」が壊れた日
「みさきー」
見上げればそこは雲一つない澄みきった青い空。
太陽が、眩しい。
「御崎の、ばかぁ」
彼の名を呼ぶも、何も返事はない。
当たり前だけど、悲しかった。
当たり前だから、悲しかったのかもしれない。
公園から出て、わたしは通学路とは反対の道を歩み始めた。
賑わいはじめる商店街。
野菜を売るおっさんの野太い声。
幼稚園に行く途中の子供が玩具を欲しがり泣き喚く耳障りな声。
ださい商店街にはあわない流行の服を着て我が物顔で歩く馬鹿女たち。
すべてが遠くに感じた。
過去に戻りたい。
ふと、そう思った。
昨日に戻って、御崎に伝えたい。
もっとうまくいくならば、彼を救いたい。