「彼」が死んだ日、「世界」が壊れた日
「ごめんな」


笑い声交じりに御崎が言う。
その声音には反省の色なんて見えない。

ぐるぐるぐるぐる、感情が渦巻く。

御崎を見つめる。
御崎もわたしを見つめる。

絡み合う視線。
意思の読み取れない瞳。
乾く瞳。

痛い。
目が、心が、からだが、ぜんぶ。


「馬鹿……御崎の、馬鹿」


軽々しい御崎の態度に、もうすぐで御崎が死んでしまうという焦燥感に、恐怖に。
舌がもつれ、気が動転し、脳の中の細胞がぐちゃぐちゃになる。


「御崎の馬鹿! 急すぎだよ! わたし、言いたいこといっぱいあるのに!」


言いたいことはたくさんある。
あるはずなのに、言葉にできない。
言いたい言葉が出てこない。
まるでそこだけがすっぽりと頭の中から消えてしまったように。

たくさんの感情が、この混雑した状況が、わたしをそうさせる。
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