「彼」が死んだ日、「世界」が壊れた日
段々と瞳が濡れてくるのを感じた。
乾燥しきっていた瞳は水を含ませたかのよう。
鼻がツーンとして。
目の辺りがじーんと熱くなる。
涙は今にも溢れそうだ。
涙が零れないように、空を見上げる。
青色なんてもう残っていなくて、清潔に見えた白い雲もなくなっていて、見上げた空は灰色に汚れていた。
雨が、降りそう。
「御崎の、御崎のばかぁ!」
なんでわたしを一人にするの。
あんたがいなきゃ生きる意味なんてわたしにはないの。
だから、わたしの命を、御崎にあげようと思ったのに。