「彼」が死んだ日、「世界」が壊れた日
悲しいとか、悔しいとか、そういうものはなかった。
御崎を失ったとか、御崎が裏切ったとか、そういうものもなくて。

ただ、全体的に負の感情というものが、わたしに撒きついて離れなかった。

それを振り払うかのように、わたしは走った。
息切れをしながら、躓きながら、行くあてもないまま、ひたすら。



「……っ、う、」

途中、なぜだか涙がこぼれてきた。
まるで自分の感情が液状化されてできたようなものだった。


「うあああ、……あ、あ、っ」


心の中はやるせない気持ちでいっぱいだった。

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