「彼」が死んだ日、「世界」が壊れた日
がっくん。
足元の大きな石に気付かなく、思わずそれを踏ん付けてしまった。
バランスを失った体を、疲れ果てた足が支えられるわけもなく、わたしはその場に崩れ落ちた。


「い、った……」


膝から崩れ落ちたため、膝がずきずきと痛んだ。
わたしは両手をつき、立ち上がろうとするけれど、足に力が入らなく立ち上がれない。
痛みや疲れを感じていないだけで、体は十分傷んでいたのだ。

最悪だ。
もう、なにもかもが最悪。

ふと、顔を上げる。
空は変わらず涙を流していて、……あれ?


「……あ」


ここ、知ってる。
わたしの知っている場所だ。

無茶苦茶に走っていたのに、いつのまにか知っているところに来れた。
とりあえず、わたしは迷子ではなくなったのだ。
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