「彼」が死んだ日、「世界」が壊れた日
さっきとは違った痛々しい姿。
さっきまで仮面で隠していたおばさんの傷が露になった。
その傷を見て、わたしの心もどんどん傷んでいった。
「いいんです、そんな……」
「ごめんなさい、本当に……でも、あなたを見ていると、どうしても雄一のことを思い出してしまうの」
濡れた瞳が、わたしをとらえる。
その瞳に映るのは、怯えたわたしの顔。
「雄一はまだ若いのに、って。もっともっとやりたいことがあったのに、って。なんで雄一だけこんな目に合わなきゃいけないんだろう……って」
傷付いたところを見て、初めて気付く。
この表情は、わたしが作ったものなんだと。
この人の笑顔を奪ったのは、わたしなんだと。
「……ごめんなさい」
「なんであなたが謝るの。あなたは、何も悪くないのよ」
「いえ……わたしが、悪いんです」